苺の体内
ある日、女の子は世の中のすべての事がいやになりました。
なにもかもが、つまらない。
そう強く感じて、女の子は憂鬱になりました。
すると、大きな苺がやってきて、彼女のとなりに座りました。
なにもかもが、つまらないかい。
つまらないわ。
そっか。
言うと、苺は、女の子をパクリと食べてしまいました。
苺の中で、食べられた女の子は、ぼんやりと、苺の内部を見つめていました。
おもしろい色をしているなあ。
そして、このおもしろい色を、友達に伝えたいなあ、と思いました。
その瞬間、友達のことを、つよくつよく、考えました。
また会いたいなあ。と。
すると、苺は、彼女を、 ペッ と吐き出してしまいました。
いま、希望のあること考えたでしょ。
苺は口を拭いながら言いました。
絶望していない女の子は、とたんに美味しくなくなるんだよね。
また、きみがちゃんと絶望したら、食べにきてあげるね。
じゃあね。
苺は帰っていきました。
女の子は、全身からいちごシロップの匂いを漂わせながら、学校に向かいました。
苺の体内の色を、友達に話しに行きました。