2012-01-07 XXY その三毛猫は両性具有だった。 性遺伝子がXXYという、ちょっとした奇形だったのだ。 それは男性の形をしていたが、生殖能はとても弱かった。 そして女性的な美しさを持っていた。 その三毛猫は眠った。 雨季の、凶暴な生命力がむんと立ち込める、ブナの森の中で、眠った。 ブナたちは三毛猫を憐れんで、それを眠らせた。 三毛猫は、もう目覚めたくないと、願ったので、その通りになった。 三毛猫は自らの遺伝子を残すことはなかったが、優しいブナの栄養になった。 雨季のブナが特に美しい理由である。